- 2024年6月30日
血糖値が上昇しやすい果物を上手に食べるには!管理栄養士が分かりやすく解説
中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科の管理栄養士、武居ひろ子です。
スーパーや八百屋さんに並んでいる果物は旬を感じさせてくれますね。
今ならサクランボ、メロン、スイカといった初夏を感じさせる果物が登場します。
また、出回る時期は非常に短いですが、橙色のビワなど色とりどりで本当に美しいですね。
どれも季節に一度は食べたい果物ばかりですが、皆さんは食べる量を決めていらっしゃいますか?
普段、栄養相談で患者さんの食事内容をお聞きしていると、食べている量に個人差がある食材は果物であると感じています。
果物が好物の方や、冬場の乾燥した時期などは3食に加えて間食にも果物を食べている方がいらっしゃいます。
一方で、食べていない方の理由としては、洗って皮を剥くのが面倒、酸っぱい味が苦手、価格が比較的高価で購入しづらい、などが挙げられます。
また、糖尿病の方の中には、血糖値が上がることを心配して果物を一切食べない方もいらっしゃいます。果物は本当に量を控えるべき食材なのでしょうか。
今回は、糖尿病の方における果物の摂取についての注意点についてお話しさせていただきます。
果物の適量について
果物は食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれているため、糖尿病でない方には積極的に摂りたい食品です。
しかし、糖尿病の方は果物の過量摂取が血糖値の上昇を招くため、摂取量を決めて食べることが大事です。
また、果物の皮には食物繊維が含まれているので、皮の薄い果物は皮を剥かずに食べるとよいでしょう。
特にリンゴやナシの皮に含まれるフロリジンは、腎臓などに存在するSGLT受容体を阻害し、尿中に糖を排泄させることで血糖値をわずかに低下させる効果が報告されています。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8814948)
したがって、これらの果物は皮を剥かずにそのまま食べることをお勧めしています。
果物の血糖に対する影響ですが、果物に含まれる果糖は直接血糖を上げることはありませんが、肝臓で糖新生が行われることでブドウ糖に変わり、結果として血糖を上げます。
さらに、果物には果糖だけでなくブドウ糖やショ糖も含まれており、これらも血糖を上昇させます。また、果糖は中性脂肪を上昇させ肥満を助長するため、1日の適量を守ることが重要です。
果物の1日の適量は、交換表によれば1単位(80 kcal)程度とされていますので、以下のものを参考にしてください。
■りんご、グレープフルーツの大きさなら1/2個
■バナナ、桃なら1個(本)
■小さいみかん(温州みかん)なら2個
■スイカなら種と皮を含めて330 g
食べる時間について
次に、果物を食べるタイミングについてですが、日中の明るいうちに食べることをお勧めします。
夕食後にデザートとして食べる方が多いですが、食べる量が多いと肥満につながるため、活動前の消費しやすい時間に食べるとよいでしょう。
続いて、今が旬の果物を選ぶ時のポイントと美味しい食べ方をご紹介します。
メロン
メロンは、枝付きのものなら両端がしなび始めているものが食べごろです。
網目が細かく、目が盛り上がっているものは甘みがあります。
一定期間をおいても成熟しないため、常温で保存し、食べる前に冷蔵します。
半分にカットしたメロンは種とワタを取り、切り口をラップで覆いポリ袋に入れて野菜室に保存すれば、2~3日ほどもちます。
桃
桃は皮の色が濃い方が甘く、色の濃い部分に白い点が出ているものはより甘いといわれています。
冷やしすぎると甘みが感じられなくなるので、食べる1時間前に冷蔵庫に入れるのが良いです。
固いものは冷暗所で1~2日追熟させるとよいでしょう。
スイカ
スイカは、しま模様が濃くはっきりしているものが甘みが強いとされています。
冷やしすぎると甘みが薄れるので、冷やしすぎないようにするのがお勧めです。
冷凍保存の場合は、1口大に切ってラップを敷いた金属トレイに並べて冷凍し、保存袋に入れておけば1か月は保存可能です。
最後に
私は当クリニックの管理栄養士として、毎月第2・第4月曜日の午後2時30分から午後6時まで、糖尿病などの生活習慣病がある方に栄養相談を行っています。
栄養相談では、お一人に対して20~30分ほどかけて食事に関するご相談やアドバイスを行い、食事に関する疑問や質問にも丁寧にお答えしています。
食事のことでお悩みの方は、ぜひ一度当クリニックの栄養相談を受けにいらしてください。
また、日程が合わず栄養相談が受けられない方は、当クリニック院長のブログ「糖尿病の食事療法と当クリニックの栄養指導について」も参考にしていただければと思います。
参考図書:食材の選び方と保存法 (造事務所 編)