• 2024年9月26日

インフルエンザ対策2024:知っておきたいワクチンの効果

中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科の院長の大庭健史です。

 

今回は、久々に感染症コラムとして、インフルエンザとインフルエンザワクチンを含む感染対策についてお話させていただきます。

 

 

インフルエンザとは

インフルエンザは、その名の通りインフルエンザウイルスに感染して発症する感染症です。

 

日本では、通常11月下旬から12月上旬にかけて流行が始まり、翌年の1月下旬から3月上旬にピークを迎えます。しかし、昨年のように9月頃から流行することもあります。

 

インフルエンザウイルスは、A型・B型・C型・D型の4つに分類され、そのうちヒトに流行するのは主にA型とB型です。次に、これらのA型とB型ウイルスについて、詳しくお話しします。

 

A型インフルエンザウイルスについて

A型インフルエンザウイルスは、ヒトだけでなく、鳥類(ニワトリ、アヒル、ウズラなど)やヒト以外の哺乳類(豚、馬など)にも感染します。

 

このウイルスの表面には、ヘマグルチニン(hemagglutinin:H)とノイラミニダーゼ(neuraminidase:N)という2種類の糖タンパク質があり、これらがヒトへの感染において重要な役割を果たしています。

 

ヘマグルチニンには18種類(H1~H18)、ノイラミニダーゼには11種類(N1~N11)が存在し、理論上はH1N1からH18N11まで198種類の亜型があると考えられています。

 

毎年流行するインフルエンザには、H1N1型のAソ連型やH3N2型のA香港型などが知られています。また、自然界では130種類以上のA型インフルエンザウイルスが報告されています。

 

同じ亜型のウイルスでも、毎年少しずつ抗原性が変化するため、インフルエンザウイルスはヒトの免疫から逃れ、毎年のように流行を繰り返します。

 

さらに、2009年にメキシコから世界的に広まった新型インフルエンザウイルスのように、豚など他の動物のインフルエンザウイルスとの遺伝子組換えによって、10年から数十年ごとに大きな変異を引き起こすことがあります。

 

感染すると、1~3日の潜伏期間を経て、発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などの強い症状が現れるのが特徴です。

 

B型インフルエンザウイルスについて

B型インフルエンザウイルスは、ビクトリア系統と山形系統という2つの主要な系統に分類されます。

 

このウイルスは昨年度、数年ぶりに流行しましたが、A型に比べて変異しにくく、世界的な大流行を引き起こすことはほとんどありません。

 

症状としては、A型に比べて発熱が穏やかな場合が多い一方、下痢や腹痛などの消化器症状が多く見られるのが特徴です。

 

インフルエンザの予防について

インフルエンザを含む感染症の予防には、基本的に手洗いとうがいが重要です。

 

手洗いについては、以前のブログ記事「当院における感染症対策と予防接種について」で詳しく解説しましたが、石けんをよく泡立て、手のひらだけでなく、手の甲・指先・指の間・手首までしっかり洗うことが大切です。

 

 

 

さらに、アルコール手指消毒を併用することをお勧めします。

 

うがいについては、当クリニックではうがい薬を使わず、水うがいを少なくとも1日2回以上行うことを推奨しています。

 

また、当クリニックではインフルエンザワクチンの接種を推奨しています。ワクチン接種に関しては、次の章で詳しく説明します。

 

インフルエンザワクチンについて

インフルエンザワクチンは、1933年にヒトのインフルエンザウイルスが初めて分離されたことを契機に、世界各国で研究が進められました。

 

アメリカでは1940年代に予防接種が始まり、日本では1957年のアジアかぜ(インフルエンザ)の流行をきっかけに、1962年から接種が行われるようになりました。

 

2016年には、世界五大医学雑誌の1つであるLancet誌にインフルエンザワクチンの効果が報告されました。

 

有効率には年ごとにばらつきがあるものの、20歳未満では43~69%、20~64歳の成人では35~74%、60歳以上の高齢者では24~63%とされています。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27061888)

 

この効果は、発売当初の新型コロナワクチンと比較すると低いものの、毎年変異を繰り返すインフルエンザウイルスに対しては、ワクチン接種が有効な予防手段の1つです。

 

当クリニックでは、感染予防と重症化予防の両面から、特に小児と高齢者の方にインフルエンザワクチンの接種を推奨しています。

 

最後に

これまでインフルエンザウイルスとその感染予防策についてお話ししましたが、これらの対策を講じても、インフルエンザにかかることはあります。

 

発熱、咳、喉の痛みなどの症状がある場合は、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の可能性も考えられますので、当クリニックの発熱外来へお気軽にご相談ください。

 

また、当クリニックでは感染予防と重症化予防のため、ワクチン接種にも力を入れています。インフルエンザワクチンは、今年も10月1日から接種を開始します。

 

当クリニックでのワクチン接種は3,000円になりますが、生後6ヶ月から中学3年生までは、中野区の一部助成により自己負担額が1,000円となります。

 

また、65歳以上の方、もしくは60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器・免疫機能のいずれかに身体障害者手帳1級相当の障害がある方は、インフルエンザ予防接種を2,500円で受けることができます。

 

インフルエンザワクチンは、診療日であれば予約なしで接種可能ですので、ぜひご利用ください。(予約していただくと、よりスムーズに接種いただけます。)

 

(文責:中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科 院長・医学博士 大庭健史)

中野駅前内科クリニック糖尿病・内分泌内科 03-3382-1071 ホームページ