- 2025年2月11日
- 2025年1月21日
「栄養成分表示」を血糖コントロールに活用してみよう
中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科の管理栄養士、武居ひろ子です。
私は非常勤として当クリニックで勤務しており、隔週(主に第2・第4)の月曜日、14時30分から18時まで患者さんに向けた栄養指導を行っています。
2025年も引き続き地域の皆さんの健康を守るためのお手伝いができればと思っています。
ところで、皆さんは「栄養成分表示」を意識してご覧になったことはありますか?

食品の包装容器の裏側に細かい数字が並んでいるのを見かけたことはあるかもしれませんが、実際にはあまり気にせずに食事をされている方が多いのではないでしょうか。
しかし、この栄養成分表示を活用することで、血糖値の調整に役立てることができます。そこで今回は、栄養成分表示を利用した血糖値コントロールの方法についてご紹介します。
2020年4月から新たな食品表示制度が完全施行となり、栄養成分を表示することが義務化されました。
これにより、1食分の栄養量を簡単に確認できるようになっています。ご自身の適量となる1食分のエネルギーや炭水化物量(糖質)を基準に食事を選んでみましょう。
まず、エネルギー量を意識することで食べ過ぎを防ぐことができます。さらに、糖質量に注意を払えば、血糖値が上がりすぎるのを防ぐことが可能です。
ぜひ、栄養成分表示をチェックする際のポイントを参考にしていただき、日々の食事に役立ててください。
1. 栄養成分表示の見方
まずは表示されている項目を確認しましょう。記載が義務つけられている項目は次の通りです。
・エネルギー(熱量)
・たんぱく質
・脂質
・炭水化物(糖質+食物繊維)
・食塩
これらは100 g、100 mL、1食分、1包装のいずれかの単位で表示されているので、どの単位に基づいているかを確認しましょう。
2. 食べる予定の食事のエネルギー量と炭水化物量を把握する
購入した食品全てのエネルギーと炭水化物量を合計してみましょう。飲料にもエネルギーや炭水化物が含まれていることがあるので、それらも追加してください。
3. 自分にとって適量のエネルギー量と炭水化物量(糖質量)の確認方法
まず、ご自身の適切な1食分のエネルギー量と炭水化物量(糖質量)を確認してみましょう。
医療機関で具体的な食事量の指示を受けている場合は、その指示に従うことが大切です。
例えば、1日1800 Kcalのエネルギー摂取指示がある場合、1食分の目安は約600 Kcalです。炭水化物量(糖質量)は、その半分程度のエネルギー量(約50%)が適量とされ、300 Kcalとなります。
糖質1 gは4 Kcalに相当するため、以下のように計算できます:
300 Kcal ÷ 4 Kcal/g = 75g
つまり、1食の目安としては、エネルギー量が約600kcal、炭水化物量(糖質量)が約75gとなります。これを基準に、これから食べる予定の食事の栄養成分表示と比較すると良いでしょう。
なお、炭水化物量がやや多いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただし、炭水化物を極端に制限することは、健康リスクを増加させる可能性があるとする大規模な臨床研究の報告があります。これには、発がんや死亡リスクの増加が含まれます。(https://www.thelancet.com/article/S2468-2667(18)30135-X/fulltext) (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34821435)
そのため、当クリニックでは炭水化物制限をあまり推奨していません。
健康的な食事を目指す際は、栄養バランスを重視しながら、適量を心がけていただければと思います。

まとめ
毎回、正確に量を合わせることを目指す必要はありません。大まかな食事の量をイメージする際の参考として活用していただくと良いでしょう。
何度か繰り返すことで、普段ご自身が食べている食事の適量の感覚がつかめてくるはずです。
また、意外に糖質量が多い食品がよく選ぶ食品の中に含まれている場合もあります。日頃から食品成分表をチェックする習慣をつけることで、より健康的な食事選びに役立てることができるでしょう。
最後に
糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病をお持ちの方にとって、食事療法は特に重要です。当クリニックでは、そのような方々を対象に月2回、栄養相談を行っています。
栄養相談では、お一人あたり20分以上の時間をかけて、食事に関するお悩みやご相談に丁寧にお応えし、具体的なアドバイスをしっかりと行います。
もし日程が合わず栄養相談を受けられない場合は、当クリニック院長のブログ「糖尿病の食事療法と当クリニックの栄養指導について(https://nakano-dm.clinic/blog/post-36)」も参考にしていただければと思います。
