• 2026年9月24日
  • 2026年6月11日

高尿酸血症・痛風治療でよく使われる2大治療薬|フェブリクとユリスを徹底比較

目次

 

はじめに

糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病を専門としている中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科の院長の大庭健史です。

 

今回のテーマは「高尿酸血症」です。高尿酸血症は、健康診断で尿酸値が高いと指摘されたことをきっかけに見つかることが多く、尿酸値が高い状態が続くと、足の親指の付け根などに激しい痛みを伴う「痛風発作」を引き起こすことがあります。

 

しかし、高尿酸血症そのものには自覚症状がほとんどないため軽視されやすく、痛風発作が治まると自己判断で通院や内服を中断してしまう方も少なくありません。 

 

現在、日本で高尿酸血症の治療薬として広く使用されているのが、フェブリク(一般名:フェブキソスタット)とユリス(一般名:ドチヌラド)です。

 

どちらも尿酸値を下げる優れた薬ですが、作用の仕方は大きく異なります。今回は、外来でよく使用されるこの2つの薬について、それぞれの特徴や長所・短所をわかりやすく解説します。

 

 

高尿酸血症とはどのような病気か

高尿酸血症とは、血液中の尿酸値が高くなった状態を指し、一般的には尿酸値が7.0 mg/dLを超えると診断されます。

 

尿酸は、体内でプリン体が分解される際に作られる老廃物で、通常は尿として体の外へ排出されます。しかし、尿酸が過剰に作られたり、腎臓からの排泄が低下したりすると、血液中に尿酸が蓄積し、高尿酸血症になります。

 

高尿酸血症そのものには自覚症状がほとんどありません。しかし、尿酸値が高い状態が長く続くと、尿酸が結晶となって関節に沈着し、足の親指の付け根などに激しい痛みや腫れを伴う「痛風発作」を引き起こすことがあります。

 

 

また、腎臓や尿路に尿酸結晶がたまることで、尿路結石や腎機能低下の原因となることもあります。

 

さらに、高尿酸血症は動脈硬化とも関連しており、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクを高める可能性があることも報告されています。(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jat/23/6/23_31591/_pdf)

 

そのため、痛風発作が起きていなくても、健康診断で尿酸値の上昇を指摘された場合には放置せず、適切な治療や生活習慣の改善に取り組むことが大切です。

 

フェブリクとはどのような薬か

フェブリクは、体内で尿酸が作られるのを抑える「尿酸生成抑制薬」に分類される薬です。尿酸はプリン体が分解される過程で作られますが、フェブリクは「キサンチンオキシダーゼ」という酵素の働きを抑えることで、尿酸の産生を減らします。

 

現在、日本で最も広く使用されている高尿酸血症治療薬の一つであり、当クリニックを含む多くの医療機関で第一選択薬として使用されています。

 

フェブリクの大きな長所は、尿酸値をしっかり下げる効果と使いやすさです。多くの患者さんで治療目標とされる尿酸値6.0 mg/dL未満を目指すことができ、慢性腎臓病を合併している方にも比較的使用しやすい薬です。

 

また、現在はジェネリック医薬品も発売されているため、長期間の治療における医療費負担を抑えられることも大きなメリットです。

 

一方で、フェブリクで尿酸値が下がりにくい患者さんもいます。高尿酸血症の中には、尿酸を作り過ぎているというよりも、尿酸を十分に排泄できないことが主な原因となっている方もいるためです。そのような場合には、フェブリクを増量したり、他の薬を併用したりすることがあります。

 

また、まれに肝機能障害などの副作用がみられることがあるため、治療中は定期的な血液検査を行いながら安全性を確認していきます。

 

 (出典:医療総合サイトQLife)

 

ユリスとはどのような薬か

ユリスは、2019年に発売された比較的新しい高尿酸血症治療薬です。フェブリクが尿酸の産生を抑える薬であるのに対し、ユリスは尿酸を体の外へ排泄しやすくする「尿酸排泄促進薬」に分類されます。

 

腎臓では、一度尿の中に排泄された尿酸の一部が再び体内に取り込まれています。ユリスは、この再吸収に関わる「URAT1」というタンパク質の働きを抑えることで、尿酸が尿とともに体の外へ排泄されやすくなり、血液中の尿酸値を下げます。

 

ユリスの大きな特徴は、尿酸を十分に排泄できないことが原因となっている高尿酸血症に対して効果が期待できる点です。

 

従来から使用されている尿酸排泄促進薬であるユリノーム(一般名:ベンズブロマロン)は高い尿酸低下効果を持つ一方で、尿路結石や、まれではあるものの重篤な肝障害が問題となることがありました。

 

ユリスは尿酸の再吸収に関わるURAT1をより選択的に阻害する薬であり、こうした副作用リスクの低減が期待されています。

 

また、ユリスはフェブリクとは異なる仕組みで尿酸値を下げるため、両者を併用することも可能です。どちらか一方だけでは十分に尿酸値が下がらない場合でも、組み合わせることでさらに高い効果が期待できます。

 

一方で、ユリスには現在のところジェネリック医薬品がなく、治療費はフェブリクより高くなります。また、尿中に排泄される尿酸の量が増えるため、尿路結石になったことがある方では注意が必要です。

 

そのため、患者さんの体質や合併症、尿酸値の状態などを考慮しながら使用する薬を選択します。

 

 (出典:医療総合サイトQLife)

 

どちらが優れているのか

では、フェブリクとユリスでは、どちらの方が優れているのでしょうか。

 

2021年に報告された臨床試験では、高尿酸血症の患者さんを対象に両薬剤の効果が比較されました。その結果、尿酸値の低下率はフェブリクで約44.0%、ユリスで約41.8%と非常に近く、どちらも高い尿酸低下効果を示しました。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33926357)

 

つまり、尿酸値を下げる効果という点では、フェブリクとユリスはどちらも優れた薬であり、一方が明らかに優れているとは言えません。

 

そのため、実際の診療では「どちらが強い薬か」ではなく、患者さんの病状や体質、腎機能、尿路結石の有無、治療費などを総合的に考慮して薬を選択します。

 

また、フェブリクとユリスは異なる仕組みで尿酸値を下げるため、併用することも可能です。

 

フェブリクだけでは十分に尿酸値が下がらない場合にユリスを追加することで、さらに尿酸値の改善が期待できます。実際の診療でも、このような併用療法が有効なケースは少なくありません。

 

当クリニックの考え方

当クリニックでは、高尿酸血症の治療を始める際には、まずフェブリクを選択することが多くあります。

 

フェブリクは尿酸値をしっかり下げる効果が期待でき、長年にわたって使用されてきた実績のある薬です。また、ジェネリック医薬品があるため、治療費を抑えやすいというメリットもあります。

 

高尿酸血症の治療は数か月で終わるものではなく、多くの場合、長期間にわたって継続する必要があります。

 

そのため、薬の効果だけでなく、飲み続けやすさや費用も重要になります。その点で、フェブリクは効果と経済性のバランスに優れた治療薬と考えています。

 

一方で、フェブリクを十分な量まで使用しても、治療目標である尿酸値6.0 mg/dL未満に到達しない患者さんもいます。

 

また、痛風結節がある場合などには、より厳格な尿酸管理が必要になることがあります。そのような場合には、ユリスの追加を検討します。

 

フェブリクは体内で尿酸が作られるのを抑える薬であり、ユリスは尿酸を尿として排泄しやすくする薬です。作用の異なる薬を組み合わせることで、より強力に尿酸値を下げることが期待できます。

 

近年は、このような併用療法を行う機会も増えています。 また、尿検査などで尿酸を体外へ排泄する力が低下していることが明らかな場合には、最初からユリスを選択することもあります。

 

当クリニックでは、患者さん一人ひとりの病状や検査結果に応じて最適な治療法をご提案し、尿酸値を目標値まで下げて維持することを目指しています。

 

まとめ

高尿酸血症は、自覚症状がないまま進行することも少なくありません。しかし、放置すると痛風発作だけでなく、腎機能の低下や尿路結石などの原因となることがあります。

 

生活習慣の改善に加え、フェブリクやユリスなどの薬を適切に使用して尿酸値を管理することで、こうした合併症を予防できる可能性があります。

 

健康診断で尿酸値の異常を指摘された方や、痛風発作を経験したことがある方は、症状がないからといって放置せず、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。

 

高尿酸血症や痛風の治療についてお悩みの方は、自己判断で抱え込まず、お気軽にご相談ください。受診をご希望の方は予約ページよりご予約いただけます。当クリニックでは、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療をご提案しています。

 

なお、高尿酸血症をはじめとする生活習慣病について詳しく知りたい方は、当クリニックのホームページ「生活習慣病」もあわせてご覧ください。

 

(文責:中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科 院長・医学博士 大庭健史)

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