• 2023年9月10日
  • 2024年2月2日

糖尿病の運動療法について

院長コラムの第2回目も糖尿病に関するテーマです。

 

糖尿病の治療は、食事療法と運動療法が大切です。ですが、具体的にどのようにすれば良いのか分からないと言うご意見をよく聞きます。そのため、今回は運動療法についてお話させていただきます。

 

 

運動療法は、有酸素運動とレジスタンス運動の2つを組み合わせることが推奨されていますが、これを正しく理解して実践することは容易ではありません。

 

当クリニックでは、まずはあまり細かいことは気にせず、ご自身にとって継続可能かつ負担のかからない運動療法を行うことをお勧めしています。「何か1つだけ変えてみよう」という気持ちが大切です。

 

例えば、寝る前に5分ストレッチするとか、少しだけ遠回りして帰るとか、週1回ランニングするとか、小さなことからで結構です。毎日ジムに通うとか、毎日電車1駅分歩くなどは、継続することが難しいので、最初は無理せずに取り組むことが重要です。小さいことでも、それを積み重ねていくことが運動療法を続けていく秘訣になります。

 

「何か1つだけ変えてみよう」という考えが身についたら、その次に有酸素運動とレジスタンス運動について理解し、実践していくことを検討するのが良いと思います。運動療法は段階的に取り組むことで、持続可能で効果的な方法となり、健康への道を歩む手助けとなります。

 

有酸素運動とは、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの下半身を中心とした大きな筋肉を使用し、息切れしない程度の運動とされています。これを週に3~5回くらい行うのが良いとされています。

 

一方、レジスタンス運動とは、腹筋、腕立て伏せ、スクワットなどの筋肉に負荷をかける運動です。この運動は、筋肉が疲労からの回復する時間が必要なため、毎日行う必要はありません。週に2~3回くらい行うことが良いとされています。

 

また、これらの運動を1回につきどの程度の時間行うのが良いのかという問題があります。以前は、有酸素運動は30分以上しないとあまり効果がないと言われていました。しかし最近では、脂質は運動開始直後からエネルギーとして消費されるため、30分未満の運動でも脂質は燃焼されることが明らかになっています。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21470361)

 

また、糖尿病患者さんを対象とした臨床研究において、運動を一度に長い時間行うよりも何回かに分けた方が血糖値の改善効果が高いことも報告されています。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23761134)

 

そのため、当クリニックでは負荷が強くない運動をこまめに継続することをお勧めしています。例えば、通勤をバスから自転車に切り替えるか、自転車から歩きに変えるなどです。また、ダンベルを使ったトレーニングや家庭用ゲーム機のフィットネスゲームなども自宅で気軽にできる運動です。

 

特に家庭用ゲーム機のフィットネスゲームは、腰痛の改善に寄与したという論文も存在し、楽しみながら体の健康を維持できる最適なツールと言えるかもしれません。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33891508)

 

 

当クリニックでは、糖尿病の薬物治療だけでなく、食事療法や運動療法にも積極的に取り組んでおります。食事療法や運動療法をどのように導入すれば良いのか迷っていらっしゃる時は、是非お気軽に当クリニックでご相談ください。

中野駅前内科クリニック糖尿病・内分泌内科 03-3382-1071 ホームページ