• 2025年4月13日
  • 2025年4月3日

花粉症の目薬が不要になる?2024年発売のアレジオン眼瞼クリームについて!

中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科の院長、大庭健史です。当クリニックでは、糖尿病や内分泌疾患(甲状腺疾患など)に加え、花粉症の治療も行っております。

 

4月に入り、スギ花粉症のピークは過ぎましたが、今度はヒノキ花粉が飛び始めています。スギ花粉とヒノキ花粉は性質が似ているため、多くの花粉症の方にとって、まだつらい時期が続いていることでしょう。

 

そのため、当クリニックでも花粉症でお悩みの患者さんの受診が続いています。多くの方には抗ヒスタミン薬(ビラノアなど)を処方していますが、それだけでは十分な効果が得られないケースもあります。

 

特に目の症状(痒みや腫れなど)は、抗ヒスタミン薬が効きにくいため、例年であれば目薬を処方していました。

 

しかし今年は、新たな選択肢として「アレジオン眼瞼クリーム」という薬が登場しました。今回は、このアレジオン眼瞼クリームについて詳しく解説していきます。

 

 

アレジオン眼瞼クリームとは

アレジオン眼瞼クリームは、抗アレルギー作用を持つ、目の周りに塗る薬です。その有効成分は、アレジオン点眼液や内服薬のアレジオンと同じエピナスチンです。

 

エピナスチンは、ヒスタミンの働きを抑えるだけでなく、ロイコトリエンやトロンボキサンといったケミカルメディエーターの放出も抑制し、アレルギーによる炎症を抑える効果があります。

 

昨年まで、花粉症による目の症状は主に点眼薬で治療されていました。しかし、点眼薬は通常1日2~4回の使用が必要で、不便に感じる方も多かったのではないでしょうか。

 

アレジオン眼瞼クリームは、1日1回上下のまぶたに塗るだけで、有効成分が眼球結膜に浸透するのが特徴です。

(出典:参天製薬ホームページ)

 

浸透したアレジオン眼瞼クリームは、マスト細胞からのヒスタミンなどのケミカルメディエーターの放出を抑制するだけでなく、すでに放出されたケミカルメディエーターが神経や血管に結合するのも阻害します。

(出典:参天製薬ホームページ)

 

次に、アレジオン眼瞼クリームの有効性について詳しく解説します。

 

アレジオン眼瞼クリームの効果は?

アレジオン眼瞼クリームの有効性は、国内で実施された2つの臨床研究によって確認されています。

 

まず、プラセボ(偽薬)と比較した第Ⅲ相臨床試験では、アレジオン眼瞼クリームを使用したグループは、治療後24時間で眼掻痒スコアおよび結膜充血スコアが有意に低下したと報告されました。(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11607043)

 

また、点眼薬と比較した別の第Ⅲ相臨床試験では、アレジオン眼瞼クリームとアレジオン点眼薬のいずれも、投与開始1週間後には掻痒スコアが有意に減少し効果はほぼ同等であることが確認されました。

 

さらに、約62.9%の被験者が「クリーム剤の方が点眼液より負担が少ない」と回答しており、利便性の面ではアレジオン眼瞼クリームがアレジオン点眼薬を上回る可能性があると考えられます。 (https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.18888/ga.0000003559)

 

アレジオン眼瞼クリームはどのような人に使うのか?

アレジオン眼瞼クリームは、12歳未満の方を対象とした臨床試験が実施されていないため、使用は12歳以上の方に推奨されています。

 

また、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方では、アレジオン眼瞼クリームおよびアレジオン点眼液のいずれも、治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与されます。

 

上記に該当しない方で、アレジオンに対するアレルギーがなければ、アレジオン眼瞼クリームは問題なく使用できます。

 

特に目薬が苦手な方やコンタクトレンズを使用している方にとって、有用な選択肢となる可能性があります。

 

アレジオン眼瞼クリームの使い方は?

アレジオン眼瞼クリームの使い方は以下の通りになります。

 

①チューブを軽く押しながら横に引き、適量(約30 mg)のクリームを指先に出します。

(出典:参天製薬ホームページ)

 

②クリームを上下のまぶたに均一に塗ってください。

(出典:参天製薬ホームページ)

 

このクリームは洗顔や入浴によって洗い流されるため、寝る前やお風呂上りなど、忘れにくいタイミング(塗る時間)を決めておきましょう。また、1回の使用量は片目あたり約30 mgであるため、1本(2 g)で約1カ月間使用可能です。

 

まとめ

鼻アレルギーの全国疫学調査(2019年)によると、日本人の約38.8%がスギ花粉症であると報告されています。(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/6/123_485/_article/-char/ja)

 

このように、多くの方が苦しんでいる花粉症に対し、アレジオン眼瞼クリームという新しい治療薬が登場したことは、非常に喜ばしいことです。

 

一方で、花粉症の根本的な治療法である減感作療法には課題があります。2025年4月現在、治療薬「シダキュア」の供給不足により、新規の治療がほとんど行えない状況が続いています。

 

そのため、花粉症治療の中心は抗ヒスタミン薬を用いた対症療法となります。現在、抗ヒスタミン薬は11種類が販売されており、薬剤によって効果や副作用に大きな違いがあります。

 

当クリニックでは、「花粉症治療は早く始めるのが良いの?ベストな薬剤についても解説」のブログ記事でも紹介したように、効果が高く、眠気が出にくいビラノア(ビラスチン)を推奨しています。

 

しかし、内服の抗ヒスタミン薬は目の症状には効果が出にくいため、ビラノアで十分な改善が見られない場合には、今回紹介したアレジオン眼瞼クリームを追加することをおすすめします。

 

花粉症でお悩みの方は、お気軽に当クリニックまでご相談ください。

 

(文責:中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科 院長・医学博士 大庭健史)

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