• 2023年12月28日

糖尿病患者さんのおせち料理の食べ方5つのコツ

はじめまして、中野駅前内科クリニックの管理栄養士、武居ひろ子です。

私は2023年10月から非常勤として当クリニックで勤務しており、隔週(主に第2・第4)の月曜日、14時30分から18時まで患者さんに向けた栄養指導を行っています。

微力ではありますが、地域の皆さんの健康を守るためのお手伝いができればと思っています。

 

 

今回は管理栄養士の初めてのコラムとして、糖尿病患者さんがおせち料理をどのように食べるべきかについて分かりやすく解説させていただきます。

 

糖尿病患者さんの年末年始の注意点について

年末年始は、クリスマス、忘年会、お正月、新年会とイベントが盛りだくさんです。そのため、糖尿病患者さんを始めとする多くの方々の食生活が乱れがちになります。

 

東京女子医大病院からの報告によると、日本の糖尿病患者さんが最もHbA1cが悪化するのは2~3月とされています。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20047769)

 

(引用:Diabetes Res Clin Pract. 2010; 88: 65-70)

 

HbA1cは検査前2~3か月間の血糖値の推移を反映しているため、糖尿病患者さんにとって年末年始の過ごし方は非常に大切です。今回は特に年始のおせち料理について詳しくお話させていただきます。

 

おせち料理とは

新年をお祝いするおせち料理は、お正月の楽しみの一つですね。おせちとは、季節の節目にあたる行事を指す言葉で、漢字では「御節」と表記されます。

 

歴史をさかのぼると、節に特別な料理である「御節供(おせちく)」を神様に奉納していたと言われています。現在では、御節供は最も大切なお正月の料理を指し、「おせち」といわれるようになりました。

 

最近ではお正月の食事のスタイルも多様化し、家庭で代々受け継がれたおせちを作る方もいらっしゃいますが、おせちを購入するか、お雑煮だけご家庭で作ってあとはすき焼きやお寿司などを楽しむ方も多くなったようです。

 

いずれにせよ、この時期は美味しい料理とお酒でつい食事量が多くなるので血糖の上昇が気になりますね。そこで今回はおせち料理の食べ方に関する5つのコツ(食事の時間、小皿に取る、野菜料理を取り入れる、果物の摂取量に注意する、食べる順番)についてお話させていただきます。

 

食事の時間について

お正月も食事の食べる時間にメリハリをつけましょう。食べる時間は平日となるべく同じにします。そして食べる時間の長さもほどほどで切り上げましょう。だらだらと食べ続けると血糖が上昇し続ける可能性がありますので、注意が必要です。

 

小皿にとる

おせち料理の特徴は、保存性を高めるために塩分と糖分が高いことです。食べすぎるとエネルギーを摂りすぎるだけではなく、食塩や糖類の摂取も過多になりがちです。大皿から直接たべるのではなく、小皿に1食量を取り分け、量を確認してから食べるようにしましょう。

 

野菜料理を取り入れる

おせち料理はたんぱく質中心の料理が多いです。例えば、エビ、かまぼこ、伊達巻、昆布巻き、黒豆、イクラなどが挙げられます。野菜料理はおせち料理の中では少なく、なますや煮物など味がしっかりついたものが主です。箸休めとして、味付けを自身で調整できる野菜のサラダがあると良いですね。また、おせちに飽きたら野菜たっぷりの鍋物に変えるのも良いかと思います。

 

果物の摂取量に注意する

暖かく乾燥した部屋ではみかんやリンゴがおいしくて食べやすいですが、果物の食べすぎは肥満や中性脂肪の上昇につながります。ミカンなら1日2個、リンゴなら1日半分までに抑えましょう。リンゴなど皮ごと食べることができる果物は食物繊維が豊富ですので、皮を剥かずに食べるのもおすすめです。

 

食べる順番

当クリニック院長のブログ「糖尿病の食事療法と当クリニックの栄養指導について」でも食べる順番の重要性について触れておりますが、おせち料理も普段の食事と同様に、食べる順番は非常に重要です。

 

糖質が多い食品であるお餅やごはん、麺類、イモ類、パンなどは血糖を上昇させる食品です。食べる順番を最後にすると、同じ量を食べても血糖の上昇は緩やかになります。おせちを食べる際も、野菜料理やタンパク質の料理を最初に摂り、最後に糖質の食品を摂るよう心がけましょう。

 

ちなみに、お餅の量ですが、米飯150 gのエネルギー、糖質量と同じお餅の量は小さいお餅50 gを2個程度です。そのため、お餅の食べすぎには注意しましょう。

 

最後に

当クリニックのブログをご覧いただいている方々の中には、おせち料理を楽しみにされている方も多くいらっしゃると思います。

 

糖尿病患者さんであっても、1年に1回のお正月を楽しむために多少のカロリーオーバーがあっても良いかと思いますが、おせち料理の5つの食べ方のコツを参考にして、健康を大切にしてお過ごしください。

 

参考文献:糖尿病ネットワーク「年末・年始の過ごし方」

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