• 2026年1月8日
  • 2025年7月7日

和食は本当に体に良いのか? 実は気をつけたい3つのこと

日本の伝統的な食文化「和食」は、2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、世界的にも注目されています。

 

ご飯を主食に、味噌汁、焼き魚、煮物、漬物といった一汁三菜のスタイルは、日本人の健康を支えてきた食事法として評価されてきました。

 

では、和食は本当に体に良いのでしょうか? 答えは「一概には言えない」です。和食には多くの健康的な側面がある一方で、現代のライフスタイルや食材の変化により、いくつかの問題点も指摘されています。

 

今回は、和食のメリットとデメリットの両方を見ながら、私たちがどのように和食と付き合っていくべきかを考えてみましょう。

 

 

和食のメリット

1. 栄養バランスが良い

和食の基本は「一汁三菜」。ご飯を中心に、たんぱく質源(魚、豆腐、卵など)、野菜や海藻などを使った副菜、そして汁物。この構成は、炭水化物・たんぱく質・脂質のバランスがよく、さらにビタミンやミネラル、食物繊維も自然に摂取できます。

特に野菜や海藻、きのこ類の摂取量が多く、食物繊維の摂取が豊富になることで、腸内環境を整える効果が期待できます。

 

2. 動物性脂肪が少ない

伝統的な和食では、肉よりも魚や大豆製品が中心です。これは動物性脂肪の摂取を抑えることができ、コレステロールや中性脂肪の上昇を防ぎ、動脈硬化や心疾患のリスクを下げることにつながります。

 

3. 発酵食品が豊富

味噌や醤油、納豆、漬物など、和食には発酵食品が多く含まれています。発酵食品は、腸内環境を整える働きがあると考えられており、間接的に免疫や体調に良い影響をもたらす可能性があるとされています。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20487575)

最近の研究では、腸内環境が免疫機能やメンタルヘルスに関係している可能性も指摘されており、和食に含まれる発酵食品への関心が高まっています。

 

 

和食のデメリット

和食には多くの健康的な側面がありますが、必ずしもすべてが「体に良い」とは言い切れません。塩分の多さやヨード(ヨウ素)の過剰摂取、栄養バランスの偏りといった問題点も存在します。

 

1. 塩分が多い

特に問題視されているのが、塩分の摂りすぎです。味噌や醤油、漬物、干物、煮物など、和食に欠かせない食材や調味料には、多くの塩分が含まれています。

 

例えば、味噌汁1杯には1.5~2g、梅干し1個には2g以上の塩分が含まれることもあります。和食の一汁三菜は確かにバランスの良い食事スタイルではありますが、それぞれの料理に塩気のある食材が重なることで、1食あたりの塩分量が簡単に6〜8 gを超えることも珍しくありません。

 

このような塩分過多の食生活を続けると、血圧が上昇しやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患のリスクが高まります。

 

実際、日本人の平均的な1日の塩分摂取量は約10 g前後とされており、これは世界保健機関(WHO)が推奨する1日5 g未満という基準を大きく上回っています。高血圧を予防・管理していくうえで、塩分のコントロールは欠かせません。

 

 

2. ヨード(ヨウ素)の過剰摂取

もう一つ見落とされがちなリスクが、ヨードの過剰摂取です。和食では昆布やひじきなどの海藻類を日常的に使用しますが、これらにはヨードが非常に多く含まれています。

  

ヨードは甲状腺ホルモンの合成に必要なミネラルですが、過剰に摂取し続けると、かえって甲状腺機能の低下を引き起こすことがあります。 

 

日本は「海藻を多く食べる国」として知られ、通常の食生活でもヨードの摂取量が高くなりやすい傾向があります。

 

とくに健康意識の高い方が毎日昆布だしを使ったり、ひじきや昆布を積極的に摂ったりしていると、知らず知らずのうちに過剰摂取になっていることがあります。

 

特に橋本病と診断されている方は、甲状腺機能が一見正常でも、ヨードの影響を受けやすいため注意が必要です。

 

 

3. 鉄分不足や炭水化物過多など

さらに、和食にはその他にもいくつかの「見えにくい弱点」があります。

 

たとえば、鉄分が不足しやすい点がその一つです。特に、魚や大豆を中心とした伝統的な和食では、レバーや赤身肉など鉄分の豊富な食品の摂取が少なくなる傾向があり、女性では鉄欠乏性貧血を起こしやすくなる場合があります。

 

また、和食は「主食(ご飯)」を中心とした構成であるため、炭水化物の摂取量が多くなりがちです。白米はグリセミック・インデックス(GI値)が高く、血糖値を急上昇させやすいため、特にご飯の大盛りやおかわりには注意が必要です。 

 

さらに、動物性たんぱく質が少ない和食中心の生活では、筋肉量の低下やフレイル(虚弱)が進みやすいという指摘もあります。

 

高齢者にとっては、肉類からの良質なたんぱく質やビタミンB群の摂取も重要であり、必要に応じて西洋料理や洋風食材を取り入れる柔軟さも求められます。

 

健康的に和食を楽しむために

和食を健康的に楽しむためには、塩分や炭水化物の摂りすぎに注意しつつ、食材の選び方や栄養バランスに工夫を加えることが大切です。

 

たとえば、

・だしの旨味を活かして塩分を控えめにする

・鉄分を多く含む食材(赤身の魚や肉、緑黄色野菜など)を意識的に取り入れる

・肉・魚・大豆などたんぱく源の種類をバランスよく組み合わせる

といった工夫が有効です。

 

和食は基本的には優れた食文化ですが、その特性を理解したうえで、現代の健康課題に合った形でアレンジしていくことが求められています。

 

専門的なアドバイスを受けたい方へ

和食の選び方や塩分管理、栄養バランスに不安のある方は、ぜひ一度、専門家のサポートを受けてみてください。

 

当クリニックでは、糖尿病をはじめとする生活習慣病の診療に力を入れており、隔週月曜の午後には管理栄養士による栄養指導も実施しています

 

日々の食事内容の見直しをはじめ、具体的な減塩の工夫や、健康的な和食の取り入れ方について、お一人おひとりのライフスタイルに合わせた丁寧なアドバイスを行っています。糖尿病や肥満症など、生活習慣病にお悩みの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

 

なお、日程が合わず栄養相談を受けられない場合は、当クリニック院長のブログ

・「糖尿病の食事療法と当クリニックの栄養指導について

・「肥満症の食事療法と運動療法について専門家が分かりやすく解説

なども、ぜひ参考にしていただければと思います。

 

まとめ:和食は「工夫次第」で健康的に

和食は本来、体に優しい料理スタイルです。しかし、塩分の多さや現代の生活環境とのギャップに気づかずに食べ過ぎてしまうと、かえって健康を損なうこともあります。

 

「和食=ヘルシー」と思い込まず、調理法や味付け、食材の選び方に少し意識を向けるだけで、和食をより健康的に楽しむことができます。

 

伝統的な知恵を現代の栄養学でアップデートしながら、バランスのとれた食生活を送るために、日々の食事を見直してみてはいかがでしょうか。

 

(文責:中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科 院長・医学博士 大庭健史)

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