- 2026年6月1日
- 2026年4月27日
2026年6月から変わる!睡眠時無呼吸症候群のCPAP治療について解説
目次
- 1. 睡眠時無呼吸症候群とは ― 全身の健康に関わる病気
- 2. これまでのCPAP導入基準の課題
- 3. 2026年6月からCPAP導入基準が見直されます
- 4. エビデンスから見るCPAP治療の意義
- 5. 今回の基準変更で何が変わるのか
- 6. 早期発見・早期治療がより重要に
- 7. 受診を検討すべき症状
- 8. 早めの検査が大切です
- 9. 当クリニックでの検査・治療
- 10. まとめ
睡眠時無呼吸症候群とは ― 全身の健康に関わる病気
中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科の院長、大庭健史です。当クリニックでは、糖尿病などの生活習慣病や、甲状腺疾患をはじめとした内分泌疾患を専門に診療しています。
今回は睡眠時無呼吸症候群についてお話します。この病気は、いびきや日中の強い眠気といった症状だけでなく、高血圧症や心筋梗塞、脳卒中などの重大な病気と深く関係していることが分かっています。
睡眠中に呼吸が何度も止まることで体が低酸素状態となり、血圧の上昇や血管への負担が続くため、動脈硬化が進みやすくなります。
そのため、睡眠時無呼吸症候群は単なる「眠りの質の問題」ではなく、全身の健康に影響を及ぼす重要な病気として考えることが大切です。

これまでのCPAP導入基準の課題
睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療であるCPAP(持続陽圧呼吸療法)は、これまで保険診療で開始するために一定の基準がありました。
具体的には、無呼吸低呼吸指数(AHI)が、簡易検査で40以上、あるいは精密検査(ポリソムノグラフィー)で20以上であることが条件とされていました。
この基準は、重症の方を確実に治療につなげるという点では有効でしたが、一方で中等症の患者さんにとってはやや厳しいものでした。
そのため、いびきや日中の眠気などの症状があるにもかかわらず、CPAP治療を受けられないケースが少なくありませんでした。
特に、これまではAHIが20未満の中等症の方の場合、保険で選択できる治療がマウスピースなどに限られており、十分な治療効果が得られないこともありました。
また、糖尿病や高血圧症などの生活習慣病を合併している、よりリスクの高い方であっても、基準を満たさないために経過観察とならざるを得ないケースがあり、現場では「症状があるのに治療に進めない」というジレンマが課題となっていました。

2026年6月からCPAP導入基準が見直されます
2026年6月の診療報酬改定により、CPAPの導入基準が見直されました。新しい基準では、簡易検査でAHI 30以上、精密検査でAHI 15以上とされ、これまでよりも治療の対象となる方が広がります。
これにより、中等症の段階から治療を開始できるようになり、いびきや日中の眠気といった症状の改善だけでなく、将来的な高血圧や心筋梗塞、脳卒中などの合併症リスクの低減も期待されます。
エビデンスから見るCPAP治療の意義
CPAP治療は、睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法で、まずは日中の強い眠気を軽減し、生活の質を改善する効果がはっきりと確認されています。
しっかり眠れるようになることで、仕事や日常生活のパフォーマンスが上がる点は、多くの方にとって大きなメリットです。
一方で、「心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントを防げるか」という点については、研究結果がやや分かれています。
2016年に発表された大規模研究(SAVE試験)では、すでに心臓や血管の病気がある方に対して、CPAP治療による明確な予防効果は確認されませんでした。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27571048)
ただし、この研究ではCPAPの使用時間が短かった方も多く、十分に効果を発揮できていなかった可能性があります。
その後、複数の研究をまとめた解析では、全体として明確な差はなかったものの、1日4時間以上しっかり使用していた方では、心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管イベントのリスクが約31%低下したと報告されています。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37787793)
つまり、CPAP治療は「つけるだけで必ず病気を防ぐ治療」ではありません。しかし、適切な方が毎日継続して使用することで、眠気の改善だけでなく、将来の健康リスク低下も期待できます。
CPAP治療で大切なのは、自分に合った設定で、無理なく続けることです。違和感や使いづらさがある場合は我慢せず、主治医に相談しながら調整していくことが成功のポイントです。
エビデンスから見るCPAP治療の意義
CPAP治療は、睡眠時無呼吸症候群の代表的な治療法で、まずは日中の強い眠気を軽減し、生活の質を改善する効果がはっきりと確認されています。
しっかり眠れるようになることで、仕事や日常生活のパフォーマンスが上がる点は、多くの方にとって大きなメリットです。
一方で、「心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントを防げるか」という点については、研究結果がやや分かれています。
2016年に発表された大規模研究(SAVE試験)では、すでに心臓や血管の病気がある方に対して、CPAP治療による明確な予防効果は確認されませんでした。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27571048)
ただし、この研究ではCPAPの使用時間が短かった方も多く、十分に効果を発揮できていなかった可能性があります。
その後、複数の研究をまとめた解析では、全体として明確な差はなかったものの、1日4時間以上しっかり使用していた方では、心筋梗塞や脳卒中などの重大な心血管イベントのリスクが約31%低下したと報告されています。(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37787793)
つまり、CPAP治療は「つけるだけで必ず病気を防ぐ治療」ではありません。しかし、適切な方が毎日継続して使用することで、眠気の改善だけでなく、将来の健康リスク低下も期待できます。
CPAP治療で大切なのは、自分に合った設定で、無理なく続けることです。違和感や使いづらさがある場合は我慢せず、主治医に相談しながら調整していくことが成功のポイントです。
今回の基準変更で何が変わるのか
今回の基準変更により、これまで「しばらく様子を見ましょう」とされていた方の中にも、新たに治療の対象となる方が増える見込みです。
特に、日中の眠気が強い方や、糖尿病・高血圧症・肥満などを伴う方では、早めに治療を始めることで体調改善や将来的な健康リスクの軽減が期待できます。
一方で、治療が必要かどうかは、検査結果の数値だけで決まるものではありません。眠気やいびきの程度、持病の有無、仕事や生活スタイルなども含めて、一人ひとりに合わせて総合的に判断することが大切です。
早期発見・早期治療がより重要に
今回の見直しにより、睡眠時無呼吸症候群は、これまで主にAHI20以上の方が治療対象とされてきましたが、今後はAHI20未満の中等症の方についても治療を検討する流れが強まっています。
AHI20未満の中等症であっても、治療を行うことで日中の眠気や倦怠感の改善だけでなく、糖尿病や高血圧症などの合併症の発症・進行を防ぐことが期待されます。
睡眠時無呼吸症候群も、生活習慣病と同じように、長期的な健康管理の一部として向き合うことが大切です。
受診を検討すべき症状
以下のような症状や指摘がある場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
・いびきを指摘されたことがある
・睡眠中に呼吸が止まっていると言われた
・日中の強い眠気や集中力の低下がある
・朝起きたときに頭痛やだるさがある
・夜間に何度も目が覚める
・糖尿病や高血圧症、肥満を指摘されている

これらは見過ごされがちですが、背景に睡眠時無呼吸症候群が隠れていることも少なくありません。
早めの検査が大切です
睡眠時無呼吸症候群は適切に診断し治療することで、睡眠の質の改善だけでなく、将来的な生活習慣病や心血管疾患のリスク低減にもつながる可能性があります。
「少し気になる程度だから」と様子を見るのではなく、気になる症状があれば早めに検査を受けることが重要です。
当クリニックでの検査・治療
当クリニックでは、ご自宅で行える簡易検査と精密検査(ポリソムノグラフィー)を用いて睡眠時無呼吸症候群の評価を行っております。検査結果に応じて、CPAP(持続陽圧呼吸療法)を含めた適切な治療をご提案いたします。
睡眠時無呼吸症候群の検査方法や治療の流れについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
いびきや日中の眠気、生活習慣病を指摘されている方は、自己判断で様子を見るのではなく、ぜひ一度当クリニックへご相談ください。受診をご希望の方は予約ページよりご予約いただけます。
まとめ
2026年6月のCPAP導入基準の見直しにより、AHI 20未満の中等症の方でも治療介入が可能となりました。これまで治療に進めなかった患者さんにも選択肢が広がり、より早期からの対応が期待されます。
睡眠時無呼吸症候群は見逃されやすい一方で、全身の健康に大きな影響を及ぼす疾患です。気になる症状がある場合は、早めの検査と適切な治療を検討することが大切です。
(文責:中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科 院長・医学博士 大庭健史)
