- 2024年1月19日
- 2024年1月18日
節分の恵方巻:糖尿病患者さんが食べる時のポイント
中野駅前内科クリニック 糖尿病・内分泌内科の管理栄養士、武居ひろ子です。
昨年12月には「おせち料理」についてお話させていただきましたが、今回も食品に関するテーマでお話させていただきます。
管理栄養士としての2回目のコラムとして、糖尿病患者さんが節分の時に食べる「恵方巻」についての注意点などについて、分かりやすく解説させていただきます。
節分とは
もうすぐ節分ですね。「鬼は外!福は内!」と、幼い頃には寒さにも負けず、思いっきり窓を開けて豆をまいたという記憶がある方も多いのではないでしょうか。節分は邪を払う行事として知られていますが、同時に幸福を呼び込む行事でもあります。
節分は、季節を分けると書かれている通り、立春(2月4日頃)の前日を指します。もともとは、立春、立夏、立秋、立冬の4回ありました。 季節の変わり目は体調を崩しやすいので、無病息災を願うため、また邪気を払う追儺(ついな)という宮中の行事がもとになっているそうです。
疫病や飢餓を鬼にみたて、それを退治するため豆をまきます。節分に使用される豆は五穀の一つであり、穀霊と呼ばれる精霊が宿っているとされ、鬼を退治する効果があったとされています。
節分の恵方巻
最近では、全国的に節分に恵方巻を食べる習慣が広がっています。恵方は年によって縁起が良いとされる方向は異なり、その年の十干によって決定され、今年の恵方は東北東になります。
この風習は、もともと江戸時代後期から明治時代初期にかけて、関西地方で節分に恵方に向いて太巻きの恵方巻を切らずに丸かじりすると願いが叶い、無病息災や商売繁盛をもたらすとされることから始まりました。
また、地域によっては節分に縁起が良いとされる食べ物が存在します。私の出身地である群馬では、けんちん汁とイワシを焼いて食べます。
これは、調べてみると鬼はイワシを焼いた匂いや煙を苦手とするからだそうです。さらに、焼いたイワシを柊の枝に刺して玄関に掛けるという習慣もあり、これは魔除けとして広く行われています。
また、けんちん汁にはこんにゃくが入っています。このこんにゃくは食物繊維が豊富なので、体内に溜まった汚れを排出し、悪いものを取り除くとされているからだそうです。
ところで最近、恵方巻はスーパー、デパート、コンビニでもお手軽に購入できるようになりました。大きさや具のバリエーションが増えて、様々な味を試すのも楽しいですね。
恵方巻の定番具材はかんぴょう、シイタケ煮、卵焼き、ウナギ、桜でんぶ、キュウリ、えびの7種類です。これは七福神にあやかっているそうです。
恵方巻は甘みもあって美味しいため、ついついたくさん食べてしまうという糖尿病患者さんもいらっしゃるかと思いますが、色々と気をつけないといけないことがあります。それについては、次の項目で詳しく解説したいと思います。
糖尿病患者さんが注意すべきポイント
糖尿病患者さんにとって、薬物治療だけでなく、食事療法と運動療法も重要です。特に、糖質(炭水化物)の摂りすぎには気をつける必要がありますが、恵方巻に使用されているご飯の量は全形の海苔(21×19センチ)1本あたり約250 gと多くなっています。
例えば、肥満のない身長163 cmの方であれば、1日の摂取カロリーの目標が1600 Kcalで、糖質の割合が55%の場合、1食あたりのご飯の量は約150 g(お茶碗1杯くらい)が適切とされています。そのため、恵方巻を1本丸ごと食べてしまうと、糖質過多になりかねません。
1年に1回のイベントなので、たまには糖質過多でも問題ありませんが、気になる方は小さめのサイズの恵方巻を購入したり、その日の他の食事の糖質を減らしたりすると良いでしょう。
また、恵方巻の酢飯には砂糖と塩が使用されており、しっかりとした味付けがされています。1日の塩分摂取量を約4.6g減らすと、血圧が約2~5 mmHg低下するとの報告(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12444537)もありますので、恵方巻につけるお醤油は控えめにしましょう。
和え物や野菜料理などを副菜として摂ると、食事がバランスよくなります。今年も節分に恵方巻や縁起の良い料理を楽しみながら、風邪などひかない体をつくりましょう。
最後に
私は、2023年10月から当クリニックの非常勤の管理栄養士として働いています。主に第2・第4月曜日の午後(14時30分から18時まで)に、患者さん向けの栄養相談を行っています。
糖尿病を含む生活習慣病でお悩みの方は、ぜひ一度当クリニックの栄養相談を受けにいらしてください。
また、月曜日にご来院できない方は、当クリニック院長のブログ「糖尿病の食事療法と当クリニックの栄養指導について」や「生活習慣病専門の医師による高血圧症の食事療法と運動療法についての解説」などを参考にしていただければと思います。